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2006年11月26日

映画「手紙」を見て考えた

「差別はね、当然なんだよ。犯罪者やそれに近い人間を排除するというのは、しごくまっとうな行為なんだ。我々は君のことを差別しなきゃならないんだ。自分が罪を犯せば家族をも苦しめることになる。全ての犯罪者にそう思い知らせるためにもね」

手紙 東野圭吾著 文春文庫


自身の好みで映画や音楽や本を選択しているばかりだと世界があまり広がらない気がしている。時々他人から半ば強制的に、「この本面白いから読んでごらん」と本を渡されたり、「私の友人が出ているから来て」と演劇のチケットを握らされたりして、どう考えても私の好みとは思えないなのだがなー。とうんざりしながら目を通すと、案外それがとても面白くてちょっと世界が広がったような気になったりする。

考えてみればアルビレックスとの出会いも会社でもらった一枚の招待券からだ。友人が行くというからじゃあ一緒についていこう、目的はサッカーでもアルビでもなくてビッグスワンを見に行くこと。それが今やこの有りさまだ。もちろん後悔なんかしちゃいないが。そんなわけでつまり、「好きなものだけ」を見に行くというのは、実はとてももったいないことなのかもしれない。

結婚して共に生活する人が増えると、そのような機会が特に増えてくる。2週間ほど前、嫁が勤め先から映画のチケットをもらってきた。昨日ふたりで見に行った。

手紙

強盗殺人を犯して服役中の兄を持つ弟。世間からの目は冷たく、アパートを追われ仕事を追われ、女性との仲を引き裂かれ、目標も絶たれた。そんな内容の映画だ。ベストセラーの本だが読んでいない。あらすじの文面を見る限りどう考えても私の趣味じゃない。半分以上面倒くさい気持ちでスクリーンに向かった。

恥ずかしながら正直に告白すると、ラストで泣いた。映画を見て泣くなんて一体いつ以来だろう。とっさに思い出せないくらい前のことだけは確かだ。 隣に座る嫁に気づかれたら恥ずかしいな、さて、どうしよう。館内が暗いうちに「けっ。つまんねー」っていう態度でそっと出ようかな? などと考えて霞むエンドロールを眺めていた。

兄のことが会社に知られ、配置転換で売り場から倉庫番になった主人公。そこに現れた社長が穏やかな表情で語ったのが冒頭の台詞だ。『僕が殺人を犯した訳じゃない』主人公の目は怒りに燃える。社長は静かに言葉を続ける。

「しかしね本当の死と違って社会的な死からは生還できる。その方法は一つしかない。こつこつと少しずつ社会性を取り戻していくんだ。他の人間との繋がりの糸を、一本ずつ増やしていくしかない。君を中心にした蜘蛛の巣のような繋がりが出来れば、誰も君を無視できなくなる。その第一歩を踏む場所がここだ」


なんでこんな事を書いたかというと、23日にあるスタジアムで起こったらしい件

 …酩酊し間違って女性の部屋に入ってしまった選手(※すでに法的社会的制裁は受け、本人も深く反省し断酒)に対し、中傷の段幕を掲げた相手サポーター… 

という出来事と、今回私の見た映画が頭の中で結びついたからだ。新潟だってヒトゴトじゃない日は来るだろう。もちろん来て欲しくないけれど、やがてそのうち来るだろう。どちら側の立場かはわからない。掲げられる方かもしれないし、もしかすると掲げる側かもしれない。そもそも当事者は私だったりするかも知れない。

思うことはいろいろあるがどうにもうまく書けない。しかも長文になって読む方も疲れる。だからもうやめたw

ただ今回に関しては、以下のように収束してくれれば一番良いのではないかと思う。あくまで理想論でしか無いかも知れないが。

・その選手は応援してくれるサポーターとの「繋がりの糸」を次々と増やしていけますように。

・段幕を掲示したサポーターは、その行動を周囲からきちんと正しく糾弾されたうえで、「自分の行動がクラブ全体をも苦しめる行為だった」と思い知って欲しい。

・気持ちは分かるが、「あんなヤツは仲間じゃない。一緒にされたくない」とする発言はすべきじゃないと思う。違うよ、紛れもなく君らと同じ仲間だよ。簡単に仲間を排除するなってば。 もちろん行動については糾弾し、該当者を最初の社長のセリフのように「差別」した上で、それでも誰かはその人と「繋がりの糸」を結んで欲しい。そうじゃなかったら意味無いよ。

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トラックバック時刻: 2006年11月26日 19:31

コメント

ちゃきん様、初めまして。いつも楽しく拝見しています。ALBINと申します。某会場で出されたダンマクは鹿島戦の帰りの車中で知りました。大変残念だと思ったのと同時に未熟者の私が恐れ多いのですが、出された其の方はご自分のされた事に最後まで責任を持たなければならない事を肝に命じてされたかという事です。そのクラブのホ-ムの試合で行われた行為は試合前に見ざるを得なかった観客・関係者の皆さんのキモチを裏切ったと思います。世の中には出来心で済まされない事もある事を其の方は肝に命じて頂きたいと思います。私達もちゃきん様が仰るように当事者となりうる事を忘れずに行動しなければならないと思った次第です。初めてで長文にて大変失礼致しました。

投稿者 ALBIN : 2006年11月26日 22:32

なんかひっかかるなー。と感じていた理由が今調べて分かった。

強盗殺人を犯してしまった兄の役が、逆境ナインの主人公と一緒の玉山鉄二ってゆーのはどーいんw

投稿者 ちゃきん : 2006年11月27日 10:03

はじめまして。
偏愛アルビのファンです。
いろいろ思うところはあるのですが。
甲府が好きになりました。

投稿者 きょるし : 2006年11月27日 22:36

他チームの誹謗中傷弾幕を出しまくっていた、新潟さんのH一家ももちろん仲間ですよね!最近見かけなくなりましたが・・あれも酷かったですよ。

投稿者 通りすがり : 2006年11月27日 23:50

初めまして。今回のお言葉、まさしく感じ入りました。
当日、参戦した者として今回の段幕の件、またそれに続く反応について、悲しく、情けなく、また申し訳ない気持ちで一杯です。件の段幕を出した人は紛れもなく私と同じレッズサポの一人です。「数が多いから一部にそういう人もいる」という論理はその行為を容認するも同然で、到底受け入れられません。サポートという意味を見つめ直すべきだと痛感しております。
失礼しました。

投稿者 チャリサポ : 2006年11月28日 02:11

>>ALBINさん

非難されて当然の行為だと思うのですが「ヒトゴトではない。いつかは我が身」という視点を持たない非難は読んでいてげんなりします。新潟の選手が不祥事を起こしたら私はどう反応するだろう。と、時々思います。

>>通りすがりさん

発作一家のことですか? もちろんアルビを応援するということで間違いなく私と仲間なんじゃないかな? まあ向こうの方が一緒にされたくないと思っているかも知れませんけれどw

>>チャリサポさん

仲間を苦しめた行為。ということをその人が思い知ってくれればよいですね。私は出された側でも出した側でもないので書く意味のない記事なんですが、「手紙」を見ていろいろ思うことあって書かせていただきました。

投稿者 ちゃきん : 2006年11月28日 09:14

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